【屋上緑化施工で大切なポイント】土壌
屋上緑化と土壌・地盤

屋上緑化で大切な
「排水」と「保水」という課題・・
芝とか苔などのような平面緑化では、土壌そのものの厚みも必要ないので気にすることもないのですが、樹木を活用した屋上緑化では、土壌や地盤についての十分な配慮が必要になってきます。
普通の自然地盤では、樹木の根は下方向にも横方向にも伸びていきます。
樹木の根には、毛細管現象や重力によって土壌中の水分移動が起こり、土壌の中の水分が十分に安定的に供給されます。
ところが、屋上緑化のような人工土壌の地盤では、余剰となった水は排水層を通じて土壌層外に
排水されるため、乾燥の害が起こりやすくなる。
また逆に、排水が十分でないと、その水は停滞水となって、根腐れの原因となってしまう。
この「保水」「排水」の矛盾した要素を屋上緑化では上手く解決しないといけません。
樹木の根と土壌面積

横に伸びる樹木の根
通常の自然土壌では、樹木の根は下方向へ伸び、横にも広がる。
ところが、土壌の固結した厳しい環境の中では、樹木の根は下方向にはわずかに伸び、横方向にはかなりの広範囲に広がり根を張る性質がある。
これは、屋上緑化の中高木でも適応して考えることができるものです。
つまり、土壌厚は30pや60pでも、横方向の根の広がりを意識して、植栽を密集せずに、ある程度の間隔をおいて植樹すれば、しっかりと土壌に根を張った樹木育成ができるということですよね。
そう、根系の成長は、土壌の深さよりも面積に左右されやすいということなのです。
それは植物の根系の吸収率は、空気や養分が豊富にある表層土壌の方が、深部よりも高いから
という原因によるものです。
これらを意識した植樹を計画的に行なっていきましょう。
屋上緑化の土壌種類
上述の「保水」と「排水」という屋上緑化の矛盾する問題を解決するため
現在、屋上緑化に利用されている土壌には、自然土壌と改良土壌、そして人工(軽量)土壌があります。
それぞれの緑化する場面により、使用の違いがでてきますが、特徴をみてみましょう。
A、自然土壌
屋上緑化に使用する自然土壌は、自然の中で存在する土壌では、森林の中の土壌の上層部分
で採取される保水性、通気性、透水性、養分保持量などに優れたものがベストだと言えます。
一般に商品として流通しているものに、火山灰土、真砂土、山砂などがあります。
このうち、真砂土、山砂などは保水性に欠けるので、屋上緑化に使用するには改良が必要だと
いえます。
B、改良土壌
改良土壌は良質土にパーライトとピースモスまたはパーク堆肥を容積比7:2:1、5:4:1や
黒土と真珠岩パーライトを7:3、真砂土と真珠岩パーライトを5:5の割合などで混合、軽量化
した土壌です。
C、人工(軽量)土壌
屋上緑化は『屋上の許容積載荷重』の関係で、重い土壌を用いることの出来ない場合が多いので、
人工的につくられた軽量の土壌を用いることも多い。
流通している人工軽量土壌は、保水性、通気性、透水性を考慮してつくられていて、湿潤時重量(比重)
も概ね0.6から0.9と自然土壌の3分の1〜2分の1ほどの重さに過ぎない。
しかし、あまり軽くなりすぎると、土壌が飛散したり、樹木が倒れたりする危険もあるので注意が
必要になります。
人工土壌を大まかに分けると、以下の3つのパターンになるでしょう。

無機質系人工土壌
@無機質系人工土壌
真珠岩系パーライト(真珠岩を800〜1000℃で焼成発泡させたもの)など、岩石の焼成物を利用した
ものが多い。
特徴として、保水性や透水性の効果は高いが、保肥性や緩衝能力(PHを安定させる力)
はは低い。施肥管理とか土壌管理に注意が必要になる。

有機質系人工土壌
A有機質系人工土壌
分解の遅い針葉樹の樹皮繊維や草灰などを加工して主成分としたもの。
特徴として、保肥性や緩衝能力(PHを安定させる力)にすぐれていますし、抗菌性も高いこと。
ただ、乾燥すると撥水するので、水分が均一にまわらないこともあるので、灌水管理が大切です。

有機無機混合系人工土壌
B有機無機混合系人工土壌
有機質と無機質のそれぞれのすぐれた点を融合させたものでで、自然の土壌に近い状態で軽量化を図ったものです。
特徴として、土壌の養分も有機物から緩やかに分解していくため、肥料の効果も長く続くのでメンテナンスも容易なこと。しかし、有機物の割合が高いと、分解で土壌の目減りが多くなることが多い。望ましい有機物系の混合は10%から20%が適当かと思われる。
※土壌の3タイプの特徴などをまとめてみましたので、参考にしてください。
種類
項目 |
自然土壌 |
改良土壌 |
人工(軽量)土壌 |
| 特徴 |
施工性=△ 土壌が重いので運搬や荷揚げが大変でコストも。泥の汚れ防止のための養生がとても大切。 |
施工性=△ 土壌が重いし、現地混合を行なうので、運搬以外に手間暇かかる。こちらも汚れ防止のための養生が大切。 |
施工性=◎ 汚れの心配がない。雨天でも施工可能。軽量なので荷揚げ、運搬は楽だが、風で飛散しやすい。 |
| 適用 箇所 |
屋上菜園ほか駐車場の上などのような大規模で管理しやすい人工地盤など |
一般的な荷重条件が配慮された屋上緑化、屋上庭園など |
荷重条件の厳しい屋上緑化、既存建物の屋上緑化、ベランダガーデンなど |
| コスト |
・材料単価=安い ・構造施工費用=高い |
・材料単価=安い ・構造施工費用=高い |
・材料単価=高い ・構造施工費用=安い |
| 比重 |
1.6〜1.8前後 |
1.1〜1.3前後 |
0.6〜1.0前後 |
※また、土壌と植栽タイプ別の荷重などの特徴もまとめてみましたので、参考にしてください。
※灌水を前提での土壌厚。排水層は黒曜石パーライトの場合(厚さ5cmで約10kg)。板状排水材の場合は7〜70oほど。
自然土壌は黒土で比重1.6で計算。軽量土壌は比重1.0。超軽量土壌は比重0.6で計算。
屋上緑化はすばらしいですし、「あなたのしたい屋上緑化」が一番大切ですが、
構造条件に合った土壌使用を十二分に考慮に入れた屋上緑化計画を立てていかなければ、
あなた自身が後々後悔する屋上緑化になってしまいます。
上記のポイントをしっかり抑えて、「あなたの屋上緑化」を計画していきましょう。


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